オオクワガタを採集する旅にやって来た
ふじたいらとヨッシーはん。
2017年7月15日22時45分、
その目的とするオオクワガタが私ふじたいらの目の前に現れたのである。
ただ、このポイントでは二手に分かれて歩き出したばかり。
スマホは車だし、ヨッシーさんに伝えたくても伝えられない。
5分、
10分が経過した。
その場所を離れるわけにいかない私(°д°;)
手に取って見せればいいと思う方もいるかもしれないが、ヨッシーさんに
とっては生まれて初めて見る天然個体。
触れる事も出来ない私はもどかしくヨッシーはんを待つ、ただそれだけである。
10分を過ぎた頃だ、80メートル程離れた橋に人影。
私はその影に向かってライトを照射した。
「あれっ、でも二人だ」
親子採集人?いや、もしかしたら地元の親子かも・・・
ダメだ、ヨッシーはんじゃない。
すると、その橋の更に向こうにある小さな橋にヨッシーはんの姿が!!!
私は先ほどの要領で遠くを歩くヨッシーはんにライトを向ける。
気付いてくれ~((((((ノ゚⊿゚)ノ
スタスタスタスタ、、、、
ヨッシーはんは、橋を渡り、道路の向こう側へ(≧∇≦)
ありゃ~りゃ~
オオクワを発見してからすでに15分が過ぎようとしている。
オオクワは時々触覚を動かすもののジッとしている。
すると、先ほど親子が通った手前に橋に
懐かしいヨッシーはんの姿が!!!
懐かしい、そんな言葉が合うくらいの
体感待ち時間だった。
私はヨッシーはんに向かって、ライトを大きく回してアピール。
走り寄るヨッシー。。。
「何かいましたか?」
「ヨッシーさん、やっと来てくれましたか」
「いや~っ、待ったよ~」
「ヨッシーさん、ここ、ここを見て」
私は葉っぱに止まるオオクワをライトで指した。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「す、すごい、オオクワガタじゃないですか!!」
「デカミヤマでもいたのかなぁと思ったのですが・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」←感動中
「綺麗ですねぇ」
「それになんだか、凄いオーラを感じます」
「オオクワガタって・・・・」
「凄いです」
「写真を撮ってもいいですか~」
「いいよ、いいよ、そのために待ってたんだよ~、この場を離れた隙に
飛んでちゃうと困るし、大声で叫ぶわけにもいかないし、もう焦ったよ」
オオクワガタって
凄い
こんなに綺麗だとは思いませんでした。
写真を撮り終わったヨッシーさんに
「さっ、採って採って」と私。
「いいんですか、では」
ヨッシーはん、人生初の第三種接近遭遇である。
私も持たせてもらうと、何となく軽い気がした。
飛んで来る虫の中には軽く感じる虫、ずっしりとした虫といろいろ。
どちらにしても飛翔個体は腹が減っている。
それだけは確かだ。
話は反れるが、この時のヨッシーはんを見た私は
ふと、以前これと同じ光景を見たような気がした。
それは夢に見たデジャブーなのか?
いや、
違う・・・
ゲンジツブーだ!!!
この時だ~~
▲昨年の房総ヒラタ採集時のヨッシーはん。
ヨッシーはんに天然オオクワガタを見せることが出来て、私は一安心した。
やはり、これがメインテーマだったからだ。
1頭だろうが、♀だろうが関係ない。
オオクワガタという魔性の虫に出会えた。
これが天と地の差なのだ。
二人のテンションはぐぐぐぐっと上昇した
オオクワガタがこんなにも美しく迫力、オーラがあるとは思いませんでした
と何度も話すヨッシーさん。
こんなに喜んでくれるとは・・・
こちらも嬉しくなった。
よし、この勢いでヨッシーさんの逃がした獲物を捕まえに行こう~
古い倉庫の前に着くなり、サーーーッと近付くヨッシーはん。
ちなみにこの倉庫の持ち主には昔会った事があって「虫採りです」「静かにやりますので」と
伝えた事があり、快く承諾してくれた記憶があるので、その辺も安心。
私の場合、その外灯近くに人がいたら、必ず挨拶をし、静かにやりますので
と伝えています。家が隣接していないただの道路外灯でも地元人がいれば同じです。
さくさくっと動くヨッシーさんを先に見送りながら、私はゆっくりと倉庫壁を照らします。
うんっ?
何か上に付いています。
大きさからすると
オオクワ???
でしょうか?
「ふじたいらさーん、オオクワです!!!」
「すみません掻き出し棒をもう一つ取って来てもらえますか~」
えっ、そっちも
「分かった、ダブルじゃん!!」
急いで車から自分の掻き出し棒を持って来てヨッシーに渡します。
どうやら、一本の掻き出し棒でオオクワを歯止めしている様子。
▲1本はチキン野郎さんから託された掻き出し棒を使用。
「もう一本渡したから楽勝だろう」
私は上にいるはずの黒い影にライトを向けて確かめ
ようとすると
「ふじたいらさーん、すみません、ライト、ライトを向けてくれますか」
おおおっ、そうだ、そうだ、ヨッシーさんは両手がふさがっているんだっけ。。。( ゚ ▽ ゚ ;)
ライトを当てると
その個体は何となくですが、オオクワじゃないようにも見えます。
でも、コンクリート埃で汚れている場合もあるので手に取るまでは分かりません。
頑張れー!
ヨッシーと心の中で叫びながらも、私も凡人ですから
上の個体が気になって仕方がありません。
そんな事考える度に、ライトの光がヨッシーはんの手元からズレます。
「ふじたいらさん、み、見えません~」
「あっ、ごめん、ごめん」
(上の個体はちゃんとまだいるかなぁ)
(ヨッシーはん、早く、早く、採ってよ~~)
あ~~っ、こんな時、千手観音のように手がたくさんあったら同時に採れるのに・・・
「もう少し、もう少し」
「あっ、採れました、、、、、けど、なんだかノコギリの♀みたいです」
「よし、じゃ上の奴を採ろう」
間髪入れずにヨッシーさんに伝え、つなぎ網を伸ばします。
網の使い方は数時間前のヨッシー網さばきを見ているので、なんとなく
大丈夫な気がします。
ほれほれっ、
その黒い個体の足を網の縁につかまらせて
トンっと地面に置きます。
やりました。
オオクワガタの♀です。
▲蜘蛛の巣が天然らしくていい
「うわ~っ、オオクワガタだ」
「えっ、上にもいたんですか。ぜんぜん気が付きませんでした。そういえば、ダブルとか
言ってましたね。なんの事かと思ったらこの事だったんですね」とヨッシーはん。
とそこに、車がスーっと止まります。
なんと、もっちゃんパパさん。
すでにライトトラップを終え、外灯回りに切り替えたようです。
私「もっちゃんパパ、オオクワ」
「えっ、オオクワ?」と駈け寄るもっちゃんパパ。
「ほんとだ、オオクワだ。そこで採ったの、凄いね」と。
暫し、確認してから、
もっちゃんパパは奮起したように外灯回りに戻られました。
時刻は午後11時15分。
なんと、1頭目採集から10数分後に2頭目のオオクワガタ。
これで2頭。2頭という事は二人で分けられるではありませんか。
ありがたい。
本当にありがたいと山神様に感謝しました。
ただ、ここで採集は終わりではありません。年に1度来れるかどうかの南会津遠征。
時間を無駄に出来ません。
ヨッシーさんにとっては、人生初の南会津ですから尚更です。
あわよくば、ヨッシーさん自身の目と手で採集してほしい。
そんな願いも。。。
時刻は午前0時少し手前。
川沿いのオレンジ外灯を見ている時です。
「ふじたいらさんですか?」
まるで日テレ「スッキリ!!」の天の声のように聞こえてくるその方向を見ると
カーキ色の帽子を被った、なんだかラテンのノリが似合いそうな男性が
いつの間にかいました。
「えっ、だれ、だれ?」と戸惑う私に
「リリンキーです」と
あっ、mixiで何度かコメントのやり取りがある千葉県北部にお住まいの
リリンキーさんでした。
▲千葉県北部にお住まいのリリンキーさん。5年をかけて茨城県産オオクワ
を樹液で採集された根性の採集人です。翌日は山の藪を掻き分けてヒメオオ
を採集されたそうです。素晴らしい~。
南会津に行っているという情報をネットで得たようで、千葉ナンバーを見つけると
気にしていたそうです。
なんでも横にいるヨッシーはんのタオル巻き頭を見て、ピンと来たのだとか(笑)
千葉から遠い山の中で同じ目的のクワ仲間たちと出会うなんて、とても嬉しいことだなっと
思いました。
そんな、感動中、続いて白いハイエースが・・・
コモチさんです。
なんという事でしょう。ここは千葉じゃないですよねぇ。
なのに千葉のクワガタ人間が次々に・・・
恐ろしいです。
しかも、コモチさんもオオクワ♀採ってるし、、、
見せてもらうと、なかなかの大物でした(後で聞いたら43ミリだそうです)。
いい年こいたオジサンたちが夜の南会津で目を輝かせて
オオクワガタという黒い宝石を追う。
やっぱ、嬉しいなぁ。。。
▲左からリリンキーさん、コモチさん、ふじたいらです(写真アップの許可をもらっています)。
コモチさん、誰も見ないような○○○○の明かり
コモチさん、誰も見ないような○○○○の明かり
まで見たらしいです。その行動力には目を見張るものがあります。
人家の無い川沿いでお互いのエールをたたえて、それぞれの方向に散る
くわ友たち。
素敵な一場面です。
我々はその後、ほんの少しだけクワガタを追加して、宿で眠るのでした。
翌朝、ケースに入っている2頭のオオクワはゼリーにかじりついています。
どちらかというと倉庫壁で採ったオオクワの方が食いっぷりがいいです。
最初の個体は元気ですが、食いは普通。
産卵させるのであれば、貪欲に食べる方でしょうか。
ヨッシーはんには、そちらを持っていってもらう事にしました。
ご飯を食べて、帰宅とヒメオオ採集の準備をしていると、ヨッシーさんが
「ふじたいらさん、大変です。村尾さんのお兄さんから山形で採った♀もらっちゃいました」
「一気に福島産と山形産が手に入るなんて、最高に嬉しいです」
「しかも天然ですから」
(村尾さんの兄さんに年齢を聞いたところ、ヨッシーさんより一つお兄さんでした。熱心な
ヨッシーさんの姿を見て、山形産をプレゼントしたいと思ったのだと私は思います)
「ほんと、この旅は勉強する事がたくさんでした」
「それに、本気の採集人にたくさん会えてよかったです」
「ありがとうございました」
この後、桧枝岐村でヒメオオは採れませんでしたが、これで十分だと感じました。
ヨッシーさんのお陰で自分もいい出会いや色々な考え方が出来ました。
ありがとうございます。
出会ったクワガタ愛好者の皆さんにも心より感謝致します。
後は簡単に写真を数枚お楽しみください。
▲LEDが増えましたが、まだまだ頑張れば採れます。
▲やや大きいアカアシクワガタ。千葉県にはいない種なので、ヨッシーはんはお持ち帰り
▲ヨッシーはんがこの日のために作ってきたつなぎ網
▲ミヤマのメス。この日は♀が多かったような
▲ラストに出会ったミヤマ♂。ミヤマはLEDでも寄るようです
▲大自然に溶け込むヨッシーはん。
▲ヒメオオはダメでしたが、ヨッシーはんは柳からアカアシを採りました。
▲お疲れ様でした
2017年7月15日
夕方~16日の午前1時頃までの成果
コクワ 2♀♀
アカアシ 1♂3♀
ミヤマ 2♂4♀
ノコギリ 1♂
オオクワ 2♀(41ミリ、40ミリ)