6月23日この日は編集仕事で内房にいた。
ならば帰り道はあの林とあの林に立ち寄ろう。
もちろんクワガタ採集である。
草を掻き分け掻き分け辿り着いたのは、昨年もっちゃんパパと
ラストヒラタ52を採ったニレの樹。
キイロスズメバチが数匹付いている。
どれどれと幾つかの洞をライトで照らそうとしていた
その時だ!!
「ぼそぼそ」
「ぼそぼそ・・・」
なんだか人の声が・・・
以前、この場所では人がいないのに人の声を聞いた事があるので、
また見えない人たちが様子を見に来たのかなぁと一瞬思った。
私は霊を見た経験は無いのだけれど、
誰もいない所で話し声を聞いた事は何度かある。
その声は大きくなり
「クワガタの人かな?」と言った。
草の中におじさんらしき二人組みの姿が。
(霊でなくクワガタ採りのおっさんでした(笑))
自分がこんにちは~誰ですか~と言うと
「ふじたいらさんですか~」と山びこのように返信。
桃さんだ!!!
何年か前もこの辺りで夜に遭遇したが、まただ。
くわ友・わいわいさんとは南会津で
約束もしていないのに何度も遭遇しているが、
桃さんとは内房ポイントで3、4回は遭遇している。
最近は外房でチキン野郎さんとも・・・
何か知らず知らずのうちに
体内に宿ったクワガタレーダーのようなものが
共有のものとなっているのだろうか?
日にちは同じだとしても時間まで一緒になるのは不思議である。
ただ、今日の桃さんの横には見知らぬ男性が一人。
過去におなじみとなった鳥さんではない。
「♀が採りたくて来たんですよ~」と桃さん。
「こちらのAさんが♀が欲しくて・・・」
どうやら地元のくわ友に採集地を案内しているみたいだ。
「2時間くらい前に来た時はこの上の洞にペアで入ってたんですよ」
「でも、採れなくて、また見に来たんですよ」と。
「じゃ、見てくださいよ」と私。
桃さんがAさんの脚立を借りて、樹の上を覗き込む。
「えっ、桃さんが脚立に乗ってる~」
驚く私
桃さんという方の採集スタイルを申しますと、ほんと欲の無い人で
内房中のヒラタクワガタが付く樹は
大抵知っているそんなレジェンドの方なのですが、
採集はせずにそこにいれば満足してしまう人なのである。
だいぶ昔に千葉で64ミリクラスのデカヒラタを採った際も
仲間にあげてしまった事があります。
(さすがに64ミリは放置しなかったみたいですが)
ちなみに千葉の64ミリは九州の70オーバーに相当するサイズと私は思っています。
「ふじたいらさん、自分まだヒラタ家に持って帰ってないですよ」
とぼそり(笑)
(どんな自慢ですか!!)
そんな桃さんだから積極的に脚立乗りしているのに驚いたわけだ。
樹を見ながら話していると、一緒の男性Aさんは地元の職人仲間で
子供の頃からヒラタは採っているのだけれどもブリードをした事がなく
そのお手伝いをするためにヒラタ♀探しをしているらしい。
仲間のためには脚立も上る桃さん、優しい採集人である。
「最近目が悪くなって」
「ふじたいらさん、いませんかねぇ」
「ペアでいたのならどこかに居そうですけどね」と私
「あっ、桃さんここにいましたよ♂が」
そいつは我々から見えない位置で幹這えをしていました。
▲幹這えヒラタと半そでのAさん
私「いりますか?」
桃さん、Aさん「♂はいいです」
私「あっ、この下の方の穴にもヒラタ入ってますよ」
カリカリと掻き出し棒を突っ込む。
「あっ、これは無理かも」
「アゴ先には引っかかるんですけど、
がっつりハマってますわ」
桃さん「じゃ、やめましょう」
自分も以前頭取れをさせてしまった苦い経験があるので止めました。
サイズは40後半といったところでしょうか。
「オカシイないないなぁ、ここにいたのになぁ」
再び脚立の上で残念がる桃さん。
「桃さん、この奥にも1本いい木があるんですが、
知ってますか?」
「じゃ、ふじたいらさん案内してくださいよ」
ザワザワ、ザワザワ
「うわ~っ」
こちらの草丈はさらに高く、180センチ近い桃さんの身長でも埋もれるくらい。
ザワワザワワだ!!
早く他の採集人さん道を作って~と思うほどでこれが嫌になる。
樹液の匂い、スズメバチの酒宴、裂けた洞。
条件は揃っているのだが、この日は留守だった。
私自身はこの樹で♀を含む5頭くらいのヒラタを採集している。
「ふじたいらさん、ツリーの樹に行きますか?」
ここで言うツリーの樹とはクワガタや甲虫たちがクリスマスツリーの
飾りのように張り付いている樹のことだ。
「分かりました。じゃ、♀採りに行きましょう~」
いいおじさんたちが中年少年状態だ。
もはや誰に止められない(笑)
桃さん「ここに64ミリが張り付いていたんですよ」
その樹はニレでヒラタが止まっていた高さは目線ライン。
なんとお手軽なデカヒラタ採集。
私「自分はこの少し上の二股近くで57ミリが歩いていました」と
張り合うわけではないが説明。
でも、この夜はコクワとノコギリのみ。
ちなみに私にとっては今季初ノコギリ。
「ふじたいらさん、これからジャンプクヌギは」
「もちろん最初から寄る予定だったから行きますよ」
「じゃ、その少し手前のポイント教えますよ」
我々3人はまたまた数キロ離れたポイントへ。
桃さんが新たに教えてくれたポイントもなかなか良い感じ。
同行のAさんは前回こちらで54ミリ♂を採ったそうだ。
ここで分かれる予定だったが、
せっかくなのでラストのジャンプくぬぎまで一緒に行きましょうと私が誘った。
「ふじたいらさん、今年は樹液良く出していますよ」
そもそもジャンプくぬぎとは
くぬぎに辿り着く前に幅広い側溝をジャンプしなければいけない事に由来する。
「あっ、ザリだ」と桃さん。
側溝の水溜りをライトで照らし、ザリガニを見つめるオジサンたち。
他にもっとする事はないのか
じゃ~んぷ!!
ここは年をとって足腰が衰えたらいけないポイントだ(笑)
ぷ~ん
そのクヌギは辺りに
芳醇で熟成した醗酵の香りを漂わせていた(もはや良く分からん)。
でも、これならば今年は楽しめそうだ。
側溝ノコギリ
「いましたよ」
桃さんがぽつり。
どれどれと私が採る。
先ほどの幹這えヒラタよりは大きい。
樹液を見ながらクワガタ談義を続ける。
私がシツコく見ていると枝と枝の間にやや大きなお尻が見えた。
掻き出し棒でそいつを抑える。
「桃さん、なかなかデカイ奴がいたよ」
写真写真
「すいません、手で押さえているので
ライトをお願いします」
▲内房のデカヒラタ、軍手のほつれが邪魔だ~
Aさんが照らしてくれて撮影完了。
50ミリ超えは確実だか、帰ってから計ろう。
残念ながらAさん目的の♀ヒラタは採れなかったが2市で3♂採れたから
まずまず。
Aさんは地元なので毎日見れるからメスもすぐ採れる事だろう。
我々はここで解散した。
ほんの2時間くらいの同行採集だったけど楽しかったなぁ。
今年も出会いの多い年になりそうだ。
左から53ミリ、47ミリ、42.8ミリ (2市で採集)
最後に採集談義でのAさん話を紹介しよう。
桃さん「Aさんは千葉で70ミリのミヤマ採っているんですよ」
私「えっ、千葉で70は凄いじゃないですか!!」
Aさん「いや、正格には73ミリなんです」
私「えぇ~~っ、それって凄すぎじゃないですか」
私「なに、外灯で採ったんですか?」
Aさん「〇〇って知ってる」
私「ええ、自分もそこで採ったことありますよ」
Aさん「樹で採るんですよ」
Aさん「一度行くと20~30匹採れるよ」
私「2、20~30匹~~~」
Aさん「その中のデカイ奴が73あったんだよね」
私「・・・・・・・」
唖然
私「どうやって・・・?」
Aさん「ミヤマを採る時、私なんかは×××を××××して×××」
私「なるほど~それは凄い」
やっぱり人間は頭を使わないといけないんだなぁと思いました。
その方法をここで書いてしまうと
Aさんに申し訳ないので書きません。
どうしても知りたい知人の方には後でそっと教えます。
読者の皆さんには申しわけありません。
ヒントは道具です。
Aさん「今年も桧枝岐に行ってミヤマを採りたいねぇ」
Aさんの場合、オオクワよりミヤマのようです。
いろいろな方がいて面白いです。
Aさん「桧枝岐で夜に空みたら、
凄い星空でしょ。あれはいいねぇ」
いい感想だ。
こんな感想をぽつりと言う方って好きですねぇ~。
別れ際にAさん
「今度、ミヤマ採りに行きましょうよ」と
う~ん、オモシロイ! 面白すぎる!!